JPモルガン、みずほ、三菱UFJ……デジタルコインで死守する銀行の覇権

JPモルガン、みずほ、三菱UFJ……デジタルコインで死守する銀行の覇権

米銀最大手、JPモルガン・チェースが2月14日、ブロックチェーンに基づくデジタル通貨「JPMコイン」を法人顧客間の決済に利用していくと発表すると、CNBCやブルームバーグなどの米大手メディアは大きく取り上げた。

その6日後、今度はみずほフィナンシャルグループが東京本社ビルに記者を集め、QRコードを活用したスマートフォン決済サービス「J-Coin Pay」を3月に始めることを明らかにした。

2019年2月20日、J-Coin Payの発表会に出席したみずほフィナンシャルの坂井辰史社長(左)と山田大介専務。

「100年銀行をやっていますから、信用力はある……電子マネーが多くある中、挑戦はこれからだ」

プラットフォーマーと呼ばれるテクノロジー企業がスマホ決済などの金融領域に参入し、既存の金融機関を脅かす中、会見に臨んだみずほフィナンシャル・山田大介専務の言葉には、プライドと自信に加えて、築いてきた銀行の覇権を死守しようとする焦りともとれる雰囲気が漂った。

マネックス証券でチーフアナリストを務める大槻奈那氏は、「自社コインを使った決済自体は儲かるものではないでしょう。しかし、他社に取られたら、顧客もその情報も全て奪われてしまいます」とコメントする。「キャッシュレス化の流れで、このビジネスを他社に奪われてなるものかという銀行の意地、気合いだと思います」

ブロックチェーンとJPMコイン

JPモルガン・チェースのHPより

大口資金の決済として1日に6兆ドル(約670兆円)を動かし、アメリカの金融界を牽引するJPモルガン。その経営の指揮をとるのは、CEOのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏。同氏は過去に、ビットコインに対する否定的な発言をしたことで有名だが、同時に幾度となくブロックチェーンの技術は金融において活用できると強調してきた人物である。

ダイモン氏の下、JPMコインを含むデジタル・トレジャリー・サービス(Digital Treasury Services)部門を統括するのは、ウマル・ファルーク(Umar Farooq)氏。マサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピューターサイエンス、経済学、コンピューターエンジニアリングを学び、イェール大学ロースクールで法博士の学位を取った後、米金融サービス会社のCITグループを経て、2009年にJPモルガンに転職した。今ではJPモルガンのブロックチェーンプロジェクトを進めるキーマンだ。

リテール決済へと拡大するか?

JPモルガンの香港オフィス(Shutterstock)

JPモルガンは、JPMコインをどう活用していくのか。ファルーク氏の説明(2月14日付発表文)を基にまとめると:

  • JPMコインはデジタルコインで、1JPM Coinは常に1米ドルの価値を持つ。
  • コインはJPモルガン・チェースの指定口座で管理され、法人顧客が他の法人顧客へブロックチェーン上で送金する場合、コインは即座に移動し、米ドルに換金される。
  • JPMコインは今後、他の主要通貨への拡大を図っていく。
  • JPMコインは、JPモルガンが開発したイーサリアムのブロックチェーン「クォーラム(Quorum)」上で、発行される。また、他のブロックチェーン・ネットワークでの運営は可能である。
  • JPMコインは現在、プロトタイプであり少数の法人顧客による試験を行い、2019年後半にはパイロット版をスタートさせる。
  • 現時点で、個人を対象としたサービス展開をする計画はない。

JPMコインによる決済は、法人顧客に限定すると説明するファルーク氏だが、その後、ダイモンCEOの個人顧客への利用拡大の可能性を示唆するコメントが報じられている。CNBCによると、株主総会に出席したダイモン氏は質疑応答の中で、「JPMコインはある日、リテール決済として使われるかもしれない」と述べたという。

独自コインで法人顧客間の決済の効率化を目指す一方、JPモルガンは大規模なブロックチェーンの実証実験を進めている。インターバンク・インフォメーション・ネットワーク(IIN:Interbank Information Network)と名づけられたこのプロジェクトには、世界で75を超える銀行が参画。日本からはみずほ、三井住友銀行、りそな銀行の3行が参画している。

当然、IINのブロックチェーンにも、JPモルガンが開発したクォーラムが採用されている。

PayPay、LINE Payを追うJ-Coin Pay

(Shutterstock)

一方、みずほのJ-Coin Payは、国内のスマホ決済市場では後発だ。ヤフーとソフトバンクが共同で進めるPayPay(ペイペイ)とLINE Payが派手なキャンペーンを打ち出して、ユーザー獲得に奔走する中で、みずほは築きあげた預金口座をベースにどこまでJ-Coinユーザーを増やしていけるのか。

「キャンペーンやポイント還元はやります。某電子マネーがやっているようなことは、社長の了承が得られないだろう」と、みずほの山田専務は20日の会見で話す。「かわいい水準で、銀行の電子マネーらしいやり方でやっていきたい」と加えた。

決済の分野は、デファクトスタンダードを取れるかが鍵を握る。当然、今後も市場シェアを拡大しようと、あの手この手のキャンペーンが打ち出さられるだろうと、マネックス証券の大槻氏は分析する。「果たして銀行がどこまで、他業種の戦略に追随するのか……。いずれにしても、これからまだまだ競争は激しくなると思う」(大槻氏)

その結果、やはり大手が体力勝負では勝ち残れる可能性を秘めていると思いますが、

マネックス証券の

「そうですねぇ。 ご指摘の通り、キャッシュレス化の流れで、このビジネスを他社に奪われてなるものか、という気合いだと思います。 自社コインを使った決済自体は儲かるものではないですが、他社に取られたら、顧客もその情報も全て奪われてしまいますから。 大手行は、実は「内国為替業務」という項目で、1000〜3000億円くらいの収益を上げています。これは、国内送金やATM手数料などからの収益です。 これに対してもちろんコストもかかるので、利益は大したことはないですが、仮にこうした業務を他社に取られたら、様々なコストだけ持ち出しになってしまいます。 決済の分野はデファクトスタンダードを取ることができるかどうかかがカギですよね。 従って、今後も、なんとか市場シェアを拡大しようと、あの手この手のキャンペーンが打ち出されると思います。 その結果、やはり大手が体力勝負では勝ち残れる可能性を秘めていると思いますが、果たして銀行がどこまで、他業態のなりふり構わぬ戦略に追随するのか… いずれにしても、これからまだまだ競争は厳しくなると思います。」

デジタル通貨「MUFG コイン」、先進ブロックチェーン技術を活用した
新決済プラットフォームの提供

https://www.coindeskjapan.com/8280/

みずほフィナンシャルグループ(FG)は、スマートフォンでQRコードを読み取って決済する独自のサービス「Jコインペイ」を3月に開始し、中国インターネット通販最大手アリババグループと提携する。

編集:XXXX、佐藤茂
写真:佐藤茂

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